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季刊誌「せおと」-fileNo.82-「虎は死して皮を留め、人は死して名を残す」という諺があって名を残すことが生きた証であるならば無縁のことと思い生きている(笑)。

fileNo.82「虎は死して皮を留め、人は死して名を残す」という諺があって名を残すことが生きた証であるならば無縁のことと思い生きている(笑)。

がしかしである。「証」が生きた証明・証拠という意味であるならば「名を残す」は他者への証明であり、他者からの証明である。証とはそれだけなのであろうか。自己が自己に対して自覚する証もあっていい、そんな思いがある。自分が自分に求める証である。

十一月七日昼前、認知機能検査兼高齢者講習通知書なるものが届く。後期高齢者が運転免許証を更新する事前審査で何回か経験しているので驚くことではない。午後三時頃隣り街の加世田自動車学校へ電話を入れ最直近で来年一月十九日の予約が取れる。

その時チラッと頭をかすめたのが認知機能検査対策用のテキスト購入のことである。近所の先輩からの情報でテキストの存在を知ったのであるが自動車学校で実施する検査には四つのパターンがあるのだという。その内の一つでテストされるが彼[か]の先輩は四つを全部憶えて臨み「満点だった!」と笑った。

目的達成にはそれも有か、とも思ったが今の自分のほんとうを知るには事前学習なしが正解ではないか、と迷って今現在(十二月七日)テキスト購入には至っていない(笑)。

今年の秋の足の早さには驚いた。大袈裟に言えば昨日まで冷房だったのに今日は暖房を使っている感じであった。またこの秋の政治向きは十月に公明党が自民党との連立から離脱すると日本維新の会が取って代わり日本初の女性総理大臣が誕生した。

その高市首相は安倍元総理の後継を自認して内閣が成立すると立て続けにトランプ米大統領、習近平中華人民共和国主席等と会談し順風満帆な船出に見え支持率も高い。がいささかはしゃぎ過ぎて台湾有事発言で中国との関係がギクシャクしている。

その安倍元総理を奈良で銃撃したとされる山上徹也(四十五)被告の裁判員裁判第七回公判が十一月十三日に開かれ、八・九回は母親・妹の尋問があったと新聞が報じた。

母親は安倍元総理と旧統一教会との関係、一億円の献金、自己破産を認めた上で事件の原因を問われ「私が加害者だ。私がしっかりしていれば徹也の人生は台無しにはならなかった。」と後悔しつつも教会を脱会する気はないらしい。妹は金を無心する時だけ母から連絡があり「母の皮をかぶった信者が母のふりをしていると思った。私たちは統一教会に家庭を破壊された。」と証言する。

第十回公判の被告人質問で被告は「四十五歳まで生きると思っていたか」の質問に「自分は生きているべきではなかった」と答えている(自殺未遂歴あり)。また証言に立たされた妹や母に「非常につらい思いをさせた」と気遣いもみせている。

殺人を犯した男とその母親・妹が裁判所という場所で証言し質問に答えるのがどんな心もちなのか、想像するだけでも辛くなる。そんな家族もあるのだ。

この齢になると(もう何回このフレーズを使ったことか)「生きた証」なる言葉が頭をかすめる時がある。「虎は死して皮を留め、人は死して名を残す」という諺[ことわざ]があって名を残すことが生きた証であるならば無縁のことと思い生きている(笑)。裸で生れて裸で死んで往く(本来無一物[むいちもつ])と気取っていたが世の中それだけでもなさそうである。

幼い児を残して先立つ親、障害のある子の親等々を想像するに何かを残したい人の心情も分かる気がする。

がしかしである。「証」が生きた証明・証拠という意味であるならば「名を残す」は他者への証明であり、他者からの証明である。証とはそれだけなのであろうか。自己が自己に対して自覚する証もあっていい、そんな思いがある。自分が自分に求める証である。社会的に生きたことと人(自分)として生きたこととは違う気がする。

他者からの評価はどうであれ自分が自分として生きて「生き切った。これでよし」といえる世界があってもいいではないか。そんな風に自分を観るには宗教的知性が必要な気がする。

仏教風に言えば自分で自分を知るには仏が必要である。自分の容姿を整えるのに鏡が必要なように自分の精神、魂を観る(知る)には仏という鏡が必要なのだ。

人生の歩みの中で「あなたはそれでいいのですね」と問うもう一人の自分を私は「仏」と呼びたい。何か行動する時「それでいいのか」と問う自分である。

山上被告は第十三回公判の弁護側の質問「教団に対してどんな思いだったか。」に対して「統一教会に一矢[し]報いる、打撃を与えるのが自分の人生の意味だと思った」と答えている(十二月四日、南日本新聞)。

人生の意味を「生きた証」と考えればずい分と悲しいこと(ことば)である。  

令和8年冬季号より

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